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城野静軒「舟中子規を聞く」
京都から舟で淀川を下って大阪へ行く途中、当時の宿駅だった八幡村・山崎村のあたりでホトトギスの声を聞いて詠った詩です。
八幡山崎春欲暮[八幡山崎春暮れんと欲す]
杜鵑啼血落花流[杜鵑血に啼いて落花流る]
一聲在月一聲水[一声
聲裡離人半夜舟[声裡
〈折しも春が暮れようとするころ、八幡・山崎あたりを通過すると、血を吐くようにホトトギスが啼き、川面には落花が浮かんで流れてゆく。一声は月が啼いたかのように聞こえ、一声は水中から発したようでもある。ホトトギスの声につつまれ、旅人は夜半の舟のなかで、ふる里へと思いをはせる。〉
ホトトギスの啼き声も、また月も、どちらも望郷の思いを掻き立てる詩語です。ホトトギスは血を吐きながら啼くといわれています。そこで承句で「血に啼く」といい、血に染まったかのような紅い花びらが水に浮かんで流れていきます。
転句は「一声」を繰り返して句中対になっています。リズムよく、ホトトギスの声が天地に満ちわたります。結句では、転句の「声」と「月」「水」を承けて、「声裡の離人」「夜半の舟」と、やはり句中対にして、天地の間の孤独な「離人」と「半夜」真夜中であることをいいます。転句・結句の句中対によって、また同字の繰り返しによって、軽快なリズムが生まれ、望郷の思いが天地一杯に広がります。「離人」は「故郷から遠く離れている人」で、「離」の一字が効いています。
ホトトギスは晩春から初夏にかけて飛来し、秋になると南に帰る渡り鳥です。日本では『万葉集』の時代からその鳴き声が称賛され、『古今和歌集』夏歌では、収録歌のほとんどにホトトギスが詠みこまれています。夜に鳴く珍しさと、ふる里や恋人を思い出す鳥として親しまれていたのです。『古今和歌集』の歌を何首か見ましょう。早くホトトギスが来てほしいという、よみ人しらずの歌。
わがやどの池の藤波
さかんに鳴くようになると、趣向をかえて何が辛くてそれほどひたすら鳴きつづけるのかと訝
五月雨
郭公人
ホトトギスは、漢字では子規
ホトトギスは蜀の国の鳥で、蜀鳥
「不如帰」は鳴き声をそれに似た言葉に置き換えた「聞き做
